DXのX(変革)に果敢に取り組む
Jfp株式会社 常務取締役 兼 技術開発部 部長 入江 さん

2019年に創業したJfp株式会社。今回は、大野城市にある技術開発センターでDXを推進している入江さんにインタビューを実施。セールスフォースの導入から、将来的に目指すDXの取り組みなど踏み込んでお話をお伺いしてきました。
--本日は、よろしくお願いします。まずは御社の業務内容を、教えていただけますか。
弊社は、ビルやマンションなどの外壁タイル剥落防止を行う工法メーカーです。
外壁補修工事を20年以上取り組んで蓄積した施工技術を元に「剥落防止工法メーカー」として『Jfp工法』というブランドを立ち上げました。建物の外壁タイルやモルタルは、「地震などの天災」「経年劣化」「温湿度変化によるひずみ」などが原因で剥落を起こす危険があります。

《外壁タイルが剥落寸前の建物》
『Jfp工法』は、剥落しないようにタイル・モルタルの浮きを押さえとめることのできる工法です。長年の経験と研究を経て、穴開け→面取り→樹脂注入→ピン留めの行程に必要な機材を自社で開発し、音が静かで、粉塵も出ない、環境にやさしい工法に完成させることが出来ました。




《左の写真:自社開発のドリルや注入機 右の写真:外壁を抑えるピンもこだわりの自社開発
従来は外壁の貼り替えをしていましたが、弊社の『Jfp工法』は元のタイルをそのまま活用して補修を行なえますので、廃棄物も最低限に抑えることができる上に、丈夫で長持ちします。仕上がりは美しく、どこを補修したのかほとんど目立ちません。そのため、資産価値を維持できるという事もあり、ビルオーナー様、施工会社の皆様には大変喜んでいただいています。

--DXへの取り組みを教えていただけますでしょうか。
DXに関しては、デジタル化に取り組んでいて、まずセールスフォースを導入しました。セールスフォースのプログラムを組んでくれるのは福岡のソリューション企業で、その方々の協力を得ながら、自分達のプラットフォームを構築している最中です。(ソリューション企業の担当者に)電子契約やセールスフォースの活用方法などは聞くことができますが、これらのデジタルツールを使っていかにX(変革)させるかは誰も教えてくれません。だからこそ、まだ答えは出てないながらも、模索している最中です。
--DXをやりたいと思ったきっかけを教えてください。
DXをしたほうがいいと、誰かに勧められた訳ではありません。でも、様々な中小企業のメーカーやライバル会社がいる中で、違うことをしなくては生き残れないと思っています。そこで、環境に優しい会社づくりなど、色々なことに取り組もうと考えました。弊社が最初に始めたのは、SDGsの観点からCO2の削減などの環境への取り組みを自主的に行う会社を目指すことです。その後環境省が策定した「エコアクション21」の取得申請をしました。実際に環境経営をやってみて感じたことは、CO2削減をするためにはデジタル化が大事であるという事です。例えば、今までは仕事で使っていた大量の紙がゴミ問題に繋がっていました。これを削減するためにはデジタル化が欠かせません。これが実現すると、書面を作成しお客様に提出するまで全てパソコンで完結出来ますし、FAXも必要ありません。余談ですが、セールスフォース本社に行ったとき、全ての机に引き出しがありませんでした。担当の方に「書類はどこに保管しているのですか?」と質問すると、「書類はクラウド管理しています」とおっしゃっていました。さらに、ゴミ箱の数が少ない事にも気づきました。おそらくゴミそのものがあまり出ないのでしょう。我々中小企業にもこうした新しい取り組み、すなわち「進化」を求められている中で、DXという言葉はずっと頭の隅にあり、2021年ごろから少しずつDXを実施しているところです。
--DXを推進するにあたって社員の皆さんに発信していることはありますか。
デジタル化が少しでも体験できると、社員はきまって「絶対デジタル化がいい」と言います。だから、まずは実務だとこんなに便利なことがあるという事柄を具体的に発信しています。例えば、営業が在庫の確認をする時に、以前は電話で2〜3時間ほどかかっていたものを、今ではスマートフォンを繋げばすぐにわかるようにしました。すごく簡単なことなんですけどね(笑)。こうして通話が減ることで、効率が上がり、楽になりました。こういう身近なところから小さな取り組みを重ねていくと、デジタル化が進み、社員にとっても便利に、より良い会社にもなっていくと思います。今回導入したセールスフォースの管理システムも、入力したいことはたくさんありました。ですが、まずは最低限のことにとどめて、1年かけてデジタルが便利だということを社員に体験してもらい、入力する内容を増やしていこうとしています。
--現時点で構想している将来の目標などありましたら、教えてください。
X(変革)の部分は構築中ですが、まずは社内のデジタル化を推進していきます。それからパートナー会社との連携をデジタル化したいと思っています。例えば、パートナー会社からの注文書はFAXが多いので、注文書をOCRでデジタル化して、セールスフォースに入れ込んで業務管理に繋げていくなどです。各パートナー会社に対して個別の専用ページを作って売上情報などのデータを可視化できるだけでなく、得意不得意の部分も可視化することで、近い地域にいるパートナー企業同士がやり合う(競合する)のではなく、横のつながりが持てる(協業する)コミュニティなどを模索しています。
--最後に、One Kyushu DXに期待していることを教えてください。
勉強会としてセキュリティやアジャイル開発、成功事例や失敗事例などの情報を教えて欲しいです。また、たまには食事会などがあっても良いと思います。毎月の座談会なども継続することで、仲間が増えてみんなで盛り上がれるといいですね。そこに部会やチームができて、もっと腹をわって悩みを赤裸々に話せる場づくりができてくると嬉しいです。会社の垣根を超えて、One Kyushu DXメンバーで何かに取り組むなど、それこそプライベートの趣味繋がりで集まったことが、ビジネスの話に繋がるのもいいと思います。ぜひ、今後も勉強会や交流する場を設けていただきたいです。
Jfp株式会社
https://www.jfp-web.co.jp/